「…今度、緑川さんトコの
恋愛話も聞きたいなー」
「へ なーんもオモシロイ事ないよ?
フツーに高校で出会って
前に少し話した、あんな流れの
大喧嘩もするわな
普通の二人でございます」
「…すごい、事、ですよ」
「…男が
プライドだけで生きていけない事に
気が付くまで、
環境によっては長いからなあ…
――あれ
ユカちゃんは、戻らないの?」
「……あの人の無事を確認したら、
行きます。」
「あら 気になるのか?」
「――私も、あの人と、
かわんないっスから…」
「でもあんまり
こういう時、男って
見てられたくないもんよ?
ま、色々いるけど」
「…そういや弟も
二階、上がってました……」
「ケンカでもしたんか?」
「…弟の友達が
引っ越すんで、転校するんです
んで挨拶に来た日に」
「あー…
俺もチビん時は、転校多かったからなあ
あずるちゃんも言ってたな
故郷が無いって
あるとしたら、屋上だってさ」
「…屋上って
何回も聞くけど、何なんですか?」
「青山のおウチ。
うちのプロモで、最初の奴
洗濯物ん所、あるっしょ」
「あああ!」
「…カミさんが
俺と一緒に暮らし始めた時
『果物とかって
いつもテーブルの上にあったけど
あれも買っておいとかないと
無いんだねえ』って
変な事実発見してたけど
そりゃそうだよな
…別に冷蔵庫から自動で
湧いて来るわけじゃないし」
「…うわ
なんかそれ…私もいつか実感しそうだ」
「岡田君も…
ずーっと地元だったみたいだから
そういうあらゆる細かい事が
初だらけで、
あずるちゃんに
甘えちまったんだろうな…」
「あれが?!」
「そ ケンカって、甘えじゃん?
カミさんだからするし
向こうもそう」
「…そいえば、そうかも…」
「…だから青山からすれば
岡田君は
あずるちゃんが
ケンカする相手なわけでさ
心中、穏やかじゃないんじゃないかな」
「…………」


