Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜





―― どれくらいやってたんだろう

…もう青山さんは、
笑っていなくて
岡田さんが倒れたまま、動かなくなった

青山さんは砂浜に
血の塊を、吐き出す

そのまま踵を返して
岡田さんの傍から、離れる



緑川さんが「おーい」と声をかけると
青山さんが「お」という顔をしながら
こっちに歩いて来た


「…どうよ 」

緑川さんが、
赤池さんから借りて来た二百円で買った
無糖の缶コーヒーを
一本差し出す



「歯、折れた」と

それを受け取りながら、
青山さんは、笑いながら去り
緑川さんも「ウヒャハハ」と
笑った



「…ィヨッ」と掛け声をかけて
緑川さんは起き上がり
岡田さんの傍に行くと、しゃがんで
もう一本のミネラルウォーターを
頭から、かけた


頭を振って、
岡田さんが体を起こそうとするけど
顔をしかめて、また頭を落とす



緑川さんが笑いかけながら
腕まくりをすると
蜥蜴が顔を出した

岡田さんは一瞬、
それに目を向けたけど
またキツく、目を閉じる

そして笑って首を振ると
緑川さんも納得したみたいに頷いて
手を振り、こっちに戻って来た



「緑川さん…
何、話してたの?」


「背負って戻ろうかって言ったら
……ほっといてくれってさ

―― 少し気が晴れたらしいよ

戻るかあ 真木ちゃん心配だし」

「青山さんじゃなくて?」



「真木ちゃんが、言ってたのさ

―― 自分もボウズが居なきゃ
今のアイツみたいになってたってさ

…だから
見てるの、――怖いらしい」