緑川さんは
「きっれいだなー!海!」と
大喜び
「緑川さんもオフだったんですよね?」
「おー 一昨日まで
カミさんの実家行ってたわ
――― あ 」
浜辺に
あの人と、青山さんが立ってる
…なんか話してるみたいだけど
聞こえない
「…平気じゃないか?
青山、闘気ねえぜ?」
「…闘気って……」
「十代の若者同士でも無いんだし
殴り合いは、さすがにないだろ…
―――――― えええっ?!」
……岡田さんから
向かって行った
殴りかかる度に、
青山さんは手を使わないで
蹴りだけで、相手をしてる
「…彼、結構強いな」
「………うん 」
―― 青山さんが
手を使い出した
岡田さんが、顔を思い切り殴られて
斜めにふっ飛んだ
…受け身を取った岡田さんは
すぐに立ち上がって
青山さんの懐に、肩から突っ込み
青山さんを投げ飛ばした
岡田さんが、
荒く息をしながら、ニヤリと笑ってる
「おお!」「スゲぇ!」
青山さんは
ちょっとびっくりしてたみたいだけど
立ち上がって、
両手をポキポキさせて
…ニッコリ笑った
『こわっ!!』と思う間もなく
何か言いながら、
抗う岡田さんの手を
子供相手みたいに持ち上げて
右手で腹に二発、
―― 膝を入れようとしたら
岡田さんが、後ろに飛びのいて
瞬間ダッシュして
青山さんを押し倒して
馬乗りになる
拳を入れようとするけど
青山さんの目はそれを見ていて
手の平で止めた
「…パワーはあるんだけどなあ
岡田くん
そろそろ、ちゃんとやってた人間との
差が出てくる」
「へ? 青山さん、なんなの?」
「空手、黒帯だぞ」
「何だってーーー?!
と、止めないとやばくないですか?!」
「…最初の一発以外
本気でやってないでっしょう
灰谷の時、一撃だったぞ
白目向いてたからなあ」
「…………。」
緑川さんは
ノンキにタバコを出して
手で守りながら、火を着ける
はひゅー。と吐き出すと
「行け行け やっとけ」と
背の後ろに、両手を置いた


