Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜




アズさんは
すぐに涙を拭いて
にっこり笑って復活して

何もなかったみたいに
立ち上がった

『彼』は
リビングで待機していた皆に
すぐ連絡して

近くを捜して動いていた
青山さんと、緑川さんも戻って来た


「…青山さん 呼ぶ?」

私はアズさんにそう言ったけど
アズさんは笑って、首を横に振って

"大人しく寝とくよ"と
ベランダから部屋に入った



たいした騒動にもならず
事態は終息して

皆が居るリビングに
『彼』も私も、降りて行った




「イヨッス!ユカちゃん!」

「微妙に久しぶり!」と

赤池さんと緑川さんが
明るく挨拶をくれる


「…あの…青山さんは?」

あの人も居ない……

緑川さんに、コッソリそう聞くと

「…彼と、海の方に歩いて行ったよ」

「うわ… とうとうバトるのかな…」

「…俺は青山より
真木ちゃんのが怖いよ…」

ちょっと親指で指し示した先に
アニキが赤池さんや池上さんと
笑ってて
…でも目は笑ってなくて


私は『彼』が消えたのに気が付いて
多分、海に向かったんだと
外に行きますと、緑川さんに言った

「…俺も行くわ
よお!ちょっとユカちゃんと
海見てくるな」

「あいよ!」と赤池さん

「…すみません」と
アニキが緑川さんに頭を下げた


「赤池!二百円貸して!」

「ん」

笑いながら歩いて来た赤池さんに
小さな声で
「…真木ちゃん頼むね」

赤池さんも
わかってるよって感じで
丸眼鏡の奥で笑った