『行くよ』

『彼』は それだけ言って
自動ドアの前に立って
小走りに車に走った

私はマキちゃんを引っ張り
その後に続く

相変わらずと言うか
『彼』は、とっとと、
自分は助手席に飛び乗って

私達も雪崩みたいに
後部座席に、転がり込む




――― 走りだした赤い車

私は
自分の後ろのシートに捕まりながら

『灰色ぃーーー!!!』と叫ぶ
"あ、Cheaだ"と言ってた男子が
道路の途中まで走って来るのが
何か映画のワンシーンみたいで

それを、ただ、見ていた