二人の距離は
二メートルくらいで
岡田さんは
そこまで近付いたのに
どうしていいか判らない感じで
何も、言葉を発しない
アズさんの方から
「…元気だった?」と微笑んで
それでやっと岡田さんは
子供みたいな顔になって
「…うん 」と
一言だけ、呟いた
そして
「…青山さんが
行って来いとでも言ったか…?」
「………うん 」
岡田さんは
感情を隠す事なく、
悔しそうな表情をして
「…帰れ 」と言った
――自分が会いに来たんじゃん。と
少しツッコミそうになったけど
やめておいた。
「……おまえが俺に会いたくて
抜け出て来たんじゃないなら
…来なくていい」
「 …淳 」
「 ……触んな 」
少し出したアズさんの手を
避けるみたいにして
岡田さんは、後ろに下がる
なんだか私はそれにムッとして
思わず声をかけそうになったけど
…… 次の瞬間
顔を真っ赤にする場面に出会う
「…そりゃ余裕あるよなあ?
おまえの最初の男だもんな
俺は嫌いだあんな男…
人の事見下ろすみたいに笑いやがって!」
「違うよ 淳
…リュウジだって、傷、
いっぱいおってるんだよ」
「どこがだよ
……おまえも同じだよ
もっと、文句言えばいい
今の俺なんか
今のおまえに比べたら
遥か下の存在だ
―― オンラインの時と
だいぶ立ち位置、変わったよなあ
…なあ
回復してくれよ アズさん
それがおまえの役目だろ?!」
―――― 岡田さんの頬が、鳴った


