「――奴は今、アイツに感化されたのか
"夢"とか言っちまってる
今は家を出て
バイトしてるか何かは知らねえが
つい最近まで、坊ちゃま生活
性格は本来それほど
荒いワケでは無いらしいけど
それはおそらく
物質やら、安定した生活が
成り立った上でのものだ
……そんな奴が一緒に生活してみろ
ボウズが
あらゆるアイツからの嫉妬に
がんじがらめになって
―――歌えなくなるのは
目に見えてる。」
「………」
私は天井を見ながら
足を組んでるアニキの向かいに座ってみた
「……なんかリアルな予測だね」
「予測じゃねえよ
…アイツの服見たか?」
「? う うん
Tシャツとジーンズ…」
「…BESの一万五千円のシャツ
Topsの…十二万か
あのジーンズは」
「えええええ?!」
「取るものも取り敢えず出て来た
あれが普段着
…ああいう奴は
こだわりある部分の生活のランク
下げられないからな
――― オマエも言ってたけど
ボウズは本来、普通の女だ
当たり前の生活があれば
今日みたいにあんな風に、
暇な時間にはビーズ作ってみたり
飯作ったり…
一番要、最低限のそれを
与えられない可能性のある人間を
認めるつもりはない
――――――絶対に。」
「………
アズさんとこ、行きます
んで……寝ます」
アニキは
"行け行け"って感じで
手をひらひらさせる
階段を途中まであがると
アズさんの部屋から
池上さんと、彼が出て来た


