Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜





『…新ダンジョンが実装されて
【BAR】の上位の敵とやれる様になったよ
…俺も最近は、一ヶ月に
二、三回しかインしてないけど』

「…畑、見に行ってるの?」


『…そう よく解ったね』


「俺もそうだから」




――…謎会話。

だけどそれで二人は
打ち解けたみたいで
岡田さんは煙草を吸い始めた



そして私はドキッとする。


…… 青山さんと、同じ銘柄の煙草

吐き出すタイミングが、同じ…



凝視していて、
―――気付かれた


「…これ?」と

煙草の箱を持ち、軽くこっちに見せて
長い睫毛を伏せて
少し笑って、黙ってる




「俺は、アズと
デートすればいいの?」

「あ、はい! そうです!」


「…
一度目の時は
オフ会だったし
アズも仕事で、すぐに帰って

二回目は、コンテスト


……三回目は
クリスマスの日で………

何か、まともにデートした日ないな
……ちょうどいいかもね」


「…岡田さん」

「 はい 」


「…なんでアズさんを
阿尾森に連れて行かなかったの?」



「…俺が、へっぽこだからだよ」

そう言って
綺麗な顔で、笑った



元気が、少し無いけど
この人が元々持ってる、
王子様みたいな空気


―― 自信みたいなもの?


そういうのは、消える事が無くって
アニキも、そんな感じを持ってる

だから、喧嘩したのかな…


―― 何か、
アニキの前でも少し、私は
ヘンな緊張、するんだけど

なんだろ……



『…へっぽこって?』


「――… そのままだよ

ちょっとVIP気取りで
狭い世界の中心は自分で

…親の用意した全ての物
それすら自覚しないで

…服、車、
好きな様に、手に入れてた

… それが俺の
生まれた時からの環境だったから


―― アズがどれだけ辛かったかとか
頭のなかだけで理解して
…こいつの事は、俺が一番理解してると
自信満々だった……」