「…リュウジを
お父さんと思った事なんて
一度もないよ…
それは 言ったよ…」
「……うん 」
青山さんが
アズさんの頭を優しく撫でたけど
アズさんは
膨れっ面をして
私のタオルケットに
潜り込んで来た
「…ユカちゃん」
「う?…ひぃぃぃ!」
碧い目で見つめられ
いきなり抱き締められて
首に、縋りつかれた
…やっぱりまだ熱ある
『…チューナー繋げたよ
――― 何してんの』
リビングの奥の小部屋から
ちょっとびっくりした顔して
『彼』が戻って来て
…普通にタオルケットの中に
潜り込んで来ようとする
青山さんもビックリして
『彼』の足を掴んだ
揉みくちゃになるタオルケットの下で
アズさんは『彼』にしがみつかれたまま
大笑いしてる
『彼』も嬉しそうに笑って
青山さんに
『…いいじゃん』と挑戦的だ
「そろそろ時間か
トオヤ サンキューな
よーし。
ちょっとあっちに移動するぞー」
アニキが
グラスとタコ焼きを持って
立ち上がる
「はーい! うお」
アズさんは青山さんに、
軽くお姫様抱っこされ、移動
『…お前、何キロ? 』
「ひ?!」
膝の裏に腕
脇の下に手を回されて
持ち上げられる
『…あ…無理』
「!!!」
『 …嘘 』
――― 生まれて初めての
お姫様抱っこは
三メートルくらい
『彼の声』が
彼の胸を伝って
耳の中に 響く


