「…俺は
過去が無かったとしても
……今、何処かのステージの上で
…何処かの道で
おまえに出会っても
絶対に、惚れてる
車の中でも
――今も
綺麗になったおまえに
どうしていいか判らなくて
本気で、戸惑ってる自分も居る
……だから
――― 今の俺で
これからは、おまえを口説くよ
あずる」
――…私も
アニキも、池上さんも
もちろんアズさんも
青山さんの顔を
目を見開いて見ていたけど
いきなりアズさんが
立ち上がった
「…どうした?」
「………ちょっとどこかで
頭、強打して来る!!」
「命懸けの実験はやめなさい!」
慌てて青山さんは
長い手を伸ばして、アズさんの首根っこを掴んで止めて
アズさんも
けらけら笑ってる
「……そして
誰か決めたら
―― それが俺で無い時は
キチンと 俺を切れ
……わかったな? 」
―――アズさんは
その青山さんの、真剣で
苦しそうな、真っ直ぐな目に
思い切る首を、横に振る
「……これ以降
どんな男が出て来ても
俺はおまえの根底だから
過去の俺以上には成り得ない
だから、おまえはいざとなったら
俺にきっと、逃げてくる
そして俺は、
それに対して
馬鹿みたいに無条件だ
――いつでも受け入れてやる
父親みたいにね
でも、そんな関係を
理解出来る人は、なかなかいない
はらわた煮え繰り返るだろう
…でも
逆もなんだよ あずる
―― コンテストの夜も言った
…おまえが その誰かと
電話で話してると思うだけでも
……死ぬ程、つらいんだ 」
―― 青山さんは
ソファーの上で脚を組んで
少し斜めがちに
立ち尽くすアズさんに
切なく、笑う


