……入るのを、ためらって
また一度、夕べ眠った部屋に戻った
入口とベランダを閉めると
コチコチ、棚の上の
時計の音が聞こえる
この音 あんまり好きじゃない
クーラーをつけると
その音が消えて、安心する
横に畳んである、布団の山に
飛び込んだ
誰もまだ使った事が無いのか
私の体重にもへこたれない
…布団ひいて
このまま寝たふりしてようかなあ
……青山さんと『彼』が
台所で言い争ってた時
ギターケースが
捨てたとかどうとか言ってたけど
よく聞こえなかった
だって有り得ないもん
聞き間違いだよ
…それと
アズさんと『彼』が姉弟らしき事
――― そして指輪
素直に
『ごめん』って言ったら
またつけてくれるかなあ…
…マジで、脳が疲れた
一枚、布団を引っ張って
端っこの方に、巣を作る
枕に顔を埋めたら
気が遠くなって来て
朝の光が爽やかに、
部屋へ降り注ぐ中
カエルみたいに拡がって
俯せのままいたら、
そのうち段々本当に、
意識が気持ち良く、薄らいで行った


