Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



「……なんか
ホントに"こっち"は
別世界だよ…」


『 …何で? 』


「…色々ありすぎ

私、多分ここに居なかったら
…今頃まだ寝てて

起きてもボーッとテレビ見て
ほとんど何も考えないで
夏休みが終わってたよ…」


『……いいね そういう夏休み』

「…違ったの?」


『…少しね 』


「………その人 いつ呼ぶの?」

『…それは、皆次第

あの人は多分
青山さんが話したいって言ったら
……来るかな』


「ぉぃ。…来るかなって」


『…電話には
出ると思うんだけど

自分の力で生きてる青山さんに
引け目は感じてるかもしれない

街で見る、
聞く事も多いだろうし

今回の野音の放送も
今晩やるし』

「ええっ?!やるの?!」

『…BSでやるよ
同時ネット配信もするし

チケット販売の時パンクしたじゃん』

「うん」

『コンサート始まってから
公園も封鎖されたから
…表の道路に五万人来たんだ
だから』

「………そ そんなに?!

ああああああっ!!!!!」


『…何だよ ビックリした…』

「首飾り!!ターコイズの!!」

『…持ってるよ』

「あれ!!
作った人に会ったの!!」


『……何処で 』

「野音!!!
チケット取れなかったから
許可取って 公園で売り子してたの!」

『…頭いいね』

「灰谷に売った
あのネックレス以上の作れたら
贈りたいって言ってた

…灰谷が、言ってくれたから
辞めようと思ったの
続けてるって そう言ってた!」

『…もう一年前だ』

「いつ買ったの?」

『…ライヴの確か 二、三日前』

「…だから金無いしとか
言ってたんだ」

『…うるせー』


「……私も買ったよ
お揃いで

…あんたが言った事、覚えてたから」


『…誰に贈ったの』

―――『彼』の顔が
急に近くなった

扉に背を付けて
しゃがんで居る私の横に
腕をつけて見詰める


「だっ …誰でもいいじゃん」

『……ふぅん』

『彼』がタン!と音を立てて
立ち上がった