――からかわれた
目茶苦茶腹が立って
後を追おうと
ドアを開けたら
床に『彼』が座ってた
…立て膝
その足の間に両手
面白そうに、私を顔を見てる――
『……驚いた?』
「……べ…別にっ?」
汗が出て、額を拭う
目が泳いでしまった
下向いて、笑ってやがる…
でもすぐに
両手で髪をかきあげて
空を見つめて、呟いた
『…やっぱり あの人も呼ぼう』
「……え 誰? 」
『 "Maxim" 』
「外国の人?」
『…アズの ネットの人』
「……何で ?」
『…納得行かないだろ この形は
青山さんだって
多分、考えてる筈』
「……電話で済むじゃん
三回しか会ってないんでしょ」
『…自分だったらって
考えてみな
…あの人の会社、去年
会長が倒れて、長男だから
動くに動けなかったんだ
アズの環境と過去
…そしてあの傷に
躊躇した部分は確かにあるけど
…考えがまとまって
落ち着いて、動ける状態なら
きちんと動く人だ』
「…知り合いみたいな口ぶり」
『…知ってるよ
俺も同じゲーム、プレイしてるから
…アズとも一緒にパーティー、
組んだ事もある
去年、彼を脅した男が
"teri"とは思ってないだろうけど』
「……アズさんは 知ってるの?」
『…知らないよ 教えてない』
「……でも
会わせたりしたら…修羅場じゃん?」
『…そう
それは必至
…だから、アズを落ち着かせて
…二人が目の前に居て
そしてキチンと考えて貰いたかった
今は
青山さんとの出来事が強すぎて
今の生活が強すぎて
虚像の世界での出来事なんか
吹き飛んでしまいそうだけど
…そこにだって 心はあるんだ 』


