二階の、ゲームしていた部屋が
少し開いてる
『彼』は
明け方のベランダに
風に吹かれたまま、独りで立ってた
少しだけ横顔が見えて
…また前を向いてしまう
――― 色々言ってたけど
『彼』は普通に
"灰谷遠矢"としてアズさんを
好きだったんじゃんって
その顔と、背中を見てて、
思った
「…あんたが
奪って逃げちゃえる事も
出来たのに…」
『…姉弟 』
「…………………え…?」
『…アズと俺は
父親の違う、……姉弟だよ』
「…な、何それ……」
『…それが無かったら
とうに今、ここになんて居ない
戸籍上では一切関係無いし
俺もアズに、
絶対言うつもりはない
――― 本当は 構わないんだ
…アズが俺を愛してくれて
そうやって二人で暮らせるなら
血の繋がりなんて
姉とか弟とか…どうでもいい
アズもきっと、そういう女だし
だから一度
…アズを抱こうとした
アズも何故か
………抵抗しなかった
でも…
その時……わかったんだ
やっぱりアズは
俺の姉さんなんだ、って…
俺は馬鹿みたいに泣いて
アズはずっと俺の事
理由も聞かずに抱きしめてくれてた… 』
「………何、で そんな大切な事」
『…ユカには 話したかった』


