Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜




『彼』はそれを見て
ゲラゲラ笑う

私はびっくりして
「…嘘だったの?!」と叫んだ



『……全部 本当で 本気だよ』


口は笑ってるけど

切れ長の目は 私を真っ直ぐに見てる

まだ涙が、 流れていた




池上さんが
『彼』から アイスピックを取り上げて
それを指先で、一回転させる


「今日
タコ焼きにしようか〜
これ見てたら、食べたくなっちゃった」



『……青山さんの事
行かせていいの 池上さん

多分、空哉さんが出て来たら
決定だよ』



「…決定って?
付き合うって事?!」


『…闘病中のアズの様子
一番見に行ってたの
池上さんなんだ』


「………そうなんだ」


「…僕は、
アズルン大好きだけど
青山くんと、一緒に居るのを見る方が
何万倍も好きだから」



「……池上さんも 相当ですね」

「僕の
"1番のお気に入りのチョイス"だから」

そう、頭を揺らして笑う



『…ユカ 』


「なっ 何 ?」


『…アズに
火をつけてくれて
ありがとう

…俺達じゃ 多分無理だった』



「……そ
そういう事に…、なるの?かな…」



『…でも
フェアじゃなかったかもしれない
"彼"にとっては

俺達総出で、
二人をけしかけたから』



「そんなの!!

この状況を
知らないわけでも無かったんだし

…アズさんが本当に好きなら
どんなに遠くても
自分トコ
連れて行っちゃえば良かったのに
それをしなかった向こうが悪い!
弱肉強食だよ!
大家族の、夕飯の焼肉と同じ!!」



「ユカリンは 強いねえ」



「だって……
マジでそうじゃないですか

うちのお母さんだって
家族の為なら痴漢倒しに走るけど
普段は虫、怖くて、お父さんに
泣き付くし

…私だって
弟が虐められてたら
ヘーキでぶっ飛ばしに行くけど
後から、足、震えたりするし…


……女の子はいつだって
家族とか、好きな人の為なら、戦うけど


最後は、好きな人の手だけが
頼りなんです……」