『…"約束"は果たされた
誰にも助けを求めず
歌と一緒に宝石を配り尽くした王子は
春になった季節の中で
…ツバメにも何も話さず
きっと独りで
何処かで
鉛の塊になるつもりだろうから
…それはあまりにも可哀相だ…』
「お〜い
青山く〜ん?台所〜?」
…… 拍子抜けする
池上さんの呼び声
慌てて鍵を開ける
「… 氷、作ってた」
「アズルン、
何でか外に出ててね
熱あったから
部屋に戻したんだけど
…『リュウジと
手繋がないと寝ない
…リュウジ助けて』って
泣き始めてね
クウヤンが宥めてるけど…
あんな
『助けて』なんて泣いてるの
初めて見たから…
少し興奮してるし
氷は僕やるから、早く行ってあげて」
「……」
―― 青山さんが
ガタンと氷を放り出して、走る


