『…これ貰うよ』
『彼』は
アイスピックを取って
リビングに向かおうとした
青山さんがいきなりハッとして、
弾かれた様に
それを抑えようとするけど
『彼』はヒョイと、その手を避ける
――― 私も変な気がして
ドアの所に移動して
…鍵を閉めた
『…何で邪魔するの 青山さん』
『彼』は笑いながら
ピックを後ろに隠す
「……何に使うんだ、それ」
『…これから"奴"にも電話するよ
そして俺は…
アズを連れて逃げる
どっちが先に
俺達を見付けるか
間に合うかな…
…間に合わなそうなら
俺はアズと一緒に逝ってあげる』
『彼』は
普通に笑って
青山さんを見た
………… 本気の、 眼


