Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜






「……ゴメンナサイ」


台所
氷枕を作る青山さんの横で
私は小さい体を
もっと小さくして縮こまる



「いや …あずるは
あんまり体温調節上手くなくて
…爬虫類じゃないけど」

「爬虫類て」


青山さんは少し笑って
枕にタオルを巻く


「…それに何だか
昔よりも 身体が弱くなってる…」


……青山さんはそう呟きながら
極力冷静に対応しようとしてるけど…


「うちのお母さんが
男の子のが小さいとき
体弱いけど
女の子は年頃になったら
色々体調変化があるから〜って
言ってましたよ」


青山さんは
今、気が付いたみたいに


「……そっか
あずるも、大きくなったもんな…」と
そう言う


「…そうですよ
もういいじゃないですか
アズさんだってあんな傷
気にしないって言いましたよ?

全然知らない人に
彼女預けちゃっていいんですか?

…しかも何だか、話聞く分には
いい人はいい人そうだけど
結構怖がり屋っていうか
言葉基準の世界って言うか…

私からすると
口でなんか、幾らでも何とでも
言えるじゃんって言うか…

アズさんにかかると
世の中の人、
殆どいい人になっちゃう気がするし…」


「…あずるがそれで
穏やかに暮らせてるなら
俺はそれが良いよ

…言葉を否定してしまったら

俺達だって
音と言葉で、
伝えたりしているわけだし…

その人が
――― 心の繋がりで
あずるを救えたなら
それも真実なんじゃないかって
最近は思ってるよ」


「でもアズさんは
熱 出すよ」



青山さんの、動きが止まる


「別に…
アズさん、無敵女じゃないよ?
フツーの
"どうしていいかわかんない"
それで泣く、女の子だよ…?

何だ…
これじゃ結局
『彼』が一番良い男じゃん

…私が泣いてるかもしれないって
千葉まで来てくれたんだから」


『…何 語ってんの』

「ひ」



『彼』がいつの間にか
後ろに立ってた