Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜






「…凄く、いい人でね…



……電話越しだったけど
海に連れて行ってくれたよ

一緒にパンも食べた

だんだん、好きになって行った


…でも


タバコを吸う音や

――――― 野音の話

……そういう事が
色々重なって行くうちに

"誰か違う人"が見えて来るの



…ある時、全部、思い出して



会った日に、
全部、話した…


距離を置かれたのは、解ったし
それで良かったと思ってる

―― リュウジとも
今回で、離れようと思ってるよ」

「なんで?!?」


「――…何で っ…て」


「アズさん!!
何にも解ってない!!
ししょーは…
青山さんは本気でアズさんの事
今でも好きなんだよ!!

も…皆してさあ…人の心配ばっか…
アズさんなんかさあ
もっとワガママ
言ったっていいんだよ?!」


「…充分してるよ

とっとと外国でも行って
連絡も絶てば済む

数年もすれば、皆は私の事なんか忘れて
普通の日常が来る

それなのに
…ウダウダ甘えてるんだから」


「…ホントに
そう思ってるなら……

アズさんて、もの凄い馬鹿と思う…!」



「……じゃ…
私は…
どうしたら、いいのかなあ…?」


―― ただ前を見てた碧い瞳から
ポロポロ涙が溢れ出て来る

…小さい子を
虐めたみたいな罪悪感

しかも声も出さないで
涙だけ流すなんて
…こんな泣き方しないでよ……


お化粧もしてないのに
唇なんか真っ赤で
ベリーショートにしたら
首筋とか、細〜くて

……女なのに
守ってあげたくなっちゃうじゃん


好きな人を思って泣くアズさんは
普通の人と、変わらない


―――… 手を握ったら
物凄い熱くて、
ちょっと変な魔法に
かかったみたいになってた私は
我に返って、青山さんを呼んだ