Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


……言われた通り
脱衣所は私達だけで
木で作られたロッカーの中の籠には
浴衣とバスタオル
入浴セットが入ってた

そしてもう一個別に、バスローブも


外から声がして
もう二人は、お湯に入り始めたらしい

……ていうか
―『彼女』の前で脱ぐの
かなり恥ずかしいんですけど…

どっちかって言うと、色黒だし
…スタイル云々とは程遠いし…


―――――― !



―― ズボンを脱いで
『彼女』がシャツに手をかけて
頭の上まであげた


―――お腹に、幾つもある
赤い、傷痕


猛禽類とか
……悪魔の爪とか
そういう手が、
思い切り八つ裂きにしたみたいな傷


頭の中が、グワンってなって
正直、物凄く怖い傷痕で
本能的に、目を逸らした



―――かなりあからさまで
バレたと思う

けど『彼女』は、浴衣を着て
横に置かれた冷蔵庫を開いて
しゃがみ込む

「ねねね
ユカちゃんは、飲み物何がいい?」

「…っえ
あ、な…何があるんだろ…」

そう言うと彼女はニコニコ笑いながら
パッと冷蔵庫の扉を、全開にした


「―― うっわあ………!」


小さめ冷蔵庫の中には
有名な店のスィーツとか
透明なフタが付いたチェリーパイとか
コーラ、ビール、お茶から水まで
クレヨンとか色鉛筆みたいに、
ギッシリ詰まってる


見たこと無いパッケージの
ピンク色の瓶のジュースがあって
私はそれを指差した

「ケーキも中でたべよっか
にししし」

外国アニメの犬みたいに
『彼女』が笑うので
私も何だか気分が楽になる



ジュースを渡してくれた



…その人差し指と
親指との間から
手首までかけて、真っ白な痕


―― 私の手にも
ちょっとだけど
似た傷痕がある

小学生の時に、彫刻刀でやった奴だ

だから、それがどうして出来た傷か
わかった……


今度は彼女も
ん?と言う顔をして
それを開いて、私に見せてくれた

「…一応、抑えたの
痕だけで、もう全然平気だよ」



「………」