『…正直
俺はアズが幸せになれるなら
どっちでも良いんだ
…誰でもね』
「……相変わらずだね」
『…だって俺は
アズを幸福には出来ないから』
「な、んで…?」
『…何となくね
だから俺は
アズとその誰かを邪魔する奴が居たら
平気で邪魔するよ
……誰でもね
今は、公平に見てるけど』
「……邪魔って…」
「おーい!!二人共ー!」
『 アズ 』
階段の上から声
シルエットで、それが『彼女』と
青山さんって事が解った
「おはようございます!」
青山さんは
少しぼーっとした感じで
「起きた」と、笑って言って
階段を降り切らず
下から三段目辺りに、座る
…"アズ"はそのままツカツカ歩いて
フツーに、そのまんま
海の中に入った。
『彼』はゲラゲラ笑って
『…俺より、うわてがいるじゃん』と
また海に向かって行った
青山さんが
そういう事が当たり前みたいに
気にもしないで
タバコに火を着けようとしたんだけど
…思い立ったみたいに
少し大きな声で、『彼女』に質問する
「……あずる!
おまえ、泳げるのか?!」
「背泳ぎ出来るー!」
―― それを聞いた途端の
青山さんの反応は
私が『焼肉』と
下から呼ばれた時より、
速かった。
普通にそのまま、海に飛び込んで
『彼女』を抱え上げてから
軽く怒ってる
それを見て、『彼』が笑って
宵闇の、水泳教室が始まった
…… なんか
家族、見てるみたいだなあと思った
「馬鹿どもおおお!!
メシ来たから
とっとと風呂場行ってから
食いに来やがれ!!
泳ぎなら、インターハイ三位っていう
微妙なオレが、明日教えてやる!」
上のログハウスの二階から
アニキの声
それを聞いて、海の中の三人は
すげー!と声をあげて
笑いながら上がって来た
『…ユカ 』
「 え うわっ?!」
『彼』に、すくって持って来たらしき
海水をかけられて
顔がビシャビシャになる
ダッシュで逃げる彼を追いかけながら
階段を、上がった


