「……ワザと言わなかったのに〜」
「えええええええええ?!
な、何で?!?!」
−−お母さんは
鍋の中に、カレーのルーを割りながら
…超熟熟カレーと
濃いまろを半分づつ
……今初めて知った
溶け切った頃
蓋をして、弱火にする
「……あの子はねえ
"子供"だよ
もしかしたら、ずーっと
"子供"の人かもしれない」
−−−−− 子供 ………
「…若い頃はさ
ああ言うタイプが、
最高にカッコよく見えたりするのよ
お母さんが、最初に好きになった人も
あんな感じだったなあ…」
「お、お父さんって言ってたじゃん!」
「そうだよー
本気で
安心しながら好きになったのは
お父さんだもん
…それまでは多分
"誰も持ってないあれが欲しい!!"に
近かったんだと思う」
――――――… ギクッとした


