浜辺にはまだ数組の家族連れやカップルにグループ、
それに犬を散歩させてるような人達がいて、なんだか少しにぎやかだった。
「あっちの方に座ろうか?」
渡さんに言われて、私達は波打ち際から少し離れた静かなところに腰を下ろした。
また腕が触れそうな距離に渡さんがいる。
風が吹く度に渡さんの匂いがする。
後は彼がこちらを向きさえすれば、
これはもう、
キスとかするのに絶好のシチュエーションじゃないっっ…!!
ドキドキしながら彼の横顔を見つめていたら、
遠くの空を眺めていた渡さんが目を細めて言った。
「すっげーな」
「え…?」
「夕日だよ…。じーっと見てると、ゆっくりだけど太陽が下に沈んでくのがすごいよくわかる…」
「へー…」
夕日なんかより渡さんのことしか眼中になかった私は、彼の言葉でようやく太陽に目を向けることになった。

