チェリーをあげる。


渡さんは表情をゆるめたまま言った。




「なんかさ、これまでの雛ちゃんを思えば見違えるようだな…。君の口からそういう話を聞けるなんて、今までの雛ちゃんじゃ考えられないし」


「は…あ」




渡さん、それって私のことけなしてるわけ…?




彼の言葉をどう受け取るべきか思案していると、


渡さんはテーブルの上の手紙を手に取って言った。




「なんて言うかさ…、雛ちゃんって、やっぱちょっと違うよな」


「え…?」


「変な説得力があるっていうか、どっか普通の人にはない力があるっていうか…」




渡さんは手紙をポケットにしまいながら言った。




「俺さ、今日この手紙を読んでて、ちょっとあの頃の気持ちを思い出したんだ…」


「あの頃の、気持ち…?」




訊き返す私に、渡さんは穏やかな表情を見せてくれた。




「うん…。君に最初に手紙をもらった頃のことだよ」


「え…?」