チェリーをあげる。


陽が少し傾きかけた頃。


私達は渡さんのお姉さんと落ち合って、彼女の運転する車で礼さんとの待ち合わせ場所まで連れて行ってもらった。



田舎にもこんな洒落たとこがあるんだと思わせるような飲食店に入り、そこで待つこと約5分。


私達の目の前に、背が高くすらっとした女性が現われた。




「ごめんね。バイトが長引いちゃった」




そう言ってやって来た礼さんは、見た目思ったより普通の人だった。




「どうもはじめまして」




はっきりとした口調でしゃべる彼女は、Tシャツにジーンズというフツーの出で立ちで、化粧っ気もほとんどなかった。


私に言わせればそれほど目を引くタイプじゃないけど、


長くて真っ直ぐな黒髪が彼女の白い肌を引き立てていて、どことなく上品そうな雰囲気があった。




この人が渡さんの心を占めている人…。




渡さんはこういうタイプが好きなのかと思うと、私は自分とタイプの違う彼女に劣等感を感じた。



彼女は私が望む全てを手にしたことがあるのかと思うと、礼さんの目を直視することができなかった。