私がしばらく無言でいると、
伸さんが私の代わりにお姉さんに言ってくれた。
「美晴さん」
「はい?」
「実は僕達、礼さんが今こっちの大学にいらっしゃるという話をうかがっているんですけど、礼さんに会わせてもらうことってできますか…?」
「え…?」
お姉さんは意味がわからないという顔をしていたけれど、
「雛ちゃんと渡くんがヨリを戻すには、まず渡くんが礼さんへの気持ちにケリをつけなきゃダメなんじゃないかと思うんです…。そのために渡には礼さんときちんとさよならさせなきゃって思っていたんですが、できれば礼さんにお会いして、渡に“お前のことはもう何とも想ってないから”って伝えてもらえないか、頼みたいと思ってたんです…」
「はあ…」
「そうすれば渡だって礼さんのことは忘れて、また若井のところに戻ってくるだろうって思うんです…。どうでしょう…?美晴さんにも何とかご協力いただけませんか…?」
そう言って伸さんが頭を下げると、
お姉さんは「仕方ないですね」と礼さんに電話で連絡を取ってくれた。

