お姉さんは話を続けた。
「結局ふたりは別れることになって…。渡、すっごく落ち込んで、一時はかなり荒れてたんですよ…。勉強が手につかなかったのか、バイトなんかして、受験にも失敗しちゃってね…。それでもこの春やっと大学生になれて、これでまた新しい人生を踏み出してくれるかなって思ってたんですけど…、そうですか…。まだ礼のこと引きずってたんですね…」
「……」
心に浮かぶ言葉はいっぱいあったのに、私は何も言えずにうつむくしかなかった。
こないだの旅行で渡さんが過去の一部を語ってくれたときのことが思い出された。
彼が抱えている傷を思うと、なんだか泣きそうになってくる。

