チェリーをあげる。


「渡んちに連絡取れたよ。ちょうど姉さんらしき人が出てくれてさ…。これから行くって言っといた」




伸さんは勝ち誇ったように笑った。




「えっ…、これからですか…?」


「うん。ほら、すぐタクシー乗ろ」




いきなり好きな人の家に行くと言われ、どうしようかと思ったけど、


伸さんが先に外へ出てしまったので、


私も仕方なく立ち上がって、伸さんと一緒に駅前からタクシーに乗った。







向かった渡さんの実家は、なんの変哲もない普通の家だった。


表札には渡さんの名字が書かれていて、それがまた私を緊張させた。



これから自分が踏み入れようとしている世界には、ホントは部外者が首を突っ込んじゃいけないんだろうけど、


ここまで来たらもう前進するしかなく、


私はドキドキしながら伸さんに続いて、渡さんちのドアの前に立った。