数秒後。
電話がつながったようで、伸さんは「あ…、恐れ入ります」と口を開いた。
「私、××大学工学部の学生寮で渡くんと同じ部屋で生活させてもらってます柄沢と申します…」
私はドキドキしながら伸さんの方に耳を傾けた。
「実は所用でこちらまで来たんですが、渡くんから預かり物と伝言を頼まれてまして、これからそちらへうかがわせていただきたいんですが、ご都合はいかがでしょうか…?はい…、はい…」
さすが伸さん、用意周到だ。
それにしても、よくこんな計画思いつくよね…。
そう感心していると、
伸さんは「連れがもうひとりいるんですけど」とか「タクシーを使います」とか言いながら話をまとめ、
「はい。それではこれからうかがいますので、よろしくお願いいたします」
と電話を切った。

