『おとうさん、ありがとう。これからもよろしく』


そう笑いながら言えばいい。


だって、あたしとゆうくんは…家族、なんだ…から。



「ーゆ、ゆうくん」


覚悟を決めてゆうくんの目を見つめる。


「ん?」


ゆうくんの低い、声。
少し傾げた、整った顔。

…格好いい…。


!?

一瞬見とれていたあたしの頬をパシン!と叩いた。

イルミネーションの光でそう見えているだけ!



あたしは口を開けた。


「お…」


ー…おとうさん…。


「お…、お…」


言えない。
次の言葉が出てこない。

……変わりに涙が溢れた。


…どうして?

…どうして言えないの?


「美衣…っ…」


ぎゅう…っ。


気づけばあたしはゆうくんの腕の、中。

……きゅん…。


ゆう、くんー…。


「無理して、言わないでいいから…。美衣」


高鳴る鼓動とゆうくんの温かさにもっと涙が溢れた。


もう、訳分かんないよぉ…。



ゆう、くん…。



瞳を閉じたまま、あたしは誓った。



ゆうくんをいつか、『おとうさん』って…



呼ぶから…。
呼んでみせるから。




でも今は…
あと少しだけ…このままでー…。