「いってぇ、冗談に決まってるだろーが」

あたしは赤くなった左頬を押さえるゆうくんの前にコーヒーを置いて椅子に腰掛ける。

「ゆうくんが悪い!」

冗談でも、あたしの心は壊れちゃうんじゃないかってほど動揺するのに。

ゆうくんは「何もひっぱたくことねーだろ?」と口を尖らせてコーヒーを口に含んだ。

そんなゆうくんの表情にも動揺してしまったあたしは、この気持ちを隠すようにトーストをかじった。

ー…あたし、昨日からおかしいよ。

なんでゆうくんにドキドキしてるの?

なんかの病気!?

はあ…、とため息をついたあたしにゆうくんは首を少し傾けると「あ!」と言い何かを思い出したようにかばんをごそごそしだした。

「あった」

「何が?」

今度はあたしが首を傾げる。

ゆうくんは二カッと笑い、言った。

「遊園地のチケット」