またあの夢、をみた。

可愛らしい女の子があたしに何かを訴えるようにただ、悲しそうにあたしを見つめている、そんな夢。

手を伸ばしても、声をかけても、そのこは悲しそうに首をふるだけ。

まるで…早く気づいて、と訴えているようにー…


あたしはひとつ深呼吸をして部屋を出た。


あのこはあたしになにを訴えたいのだろう…。


あたしの名前は松木美衣。

ごくごく普通の女子高生だ。



あたしは洗面所で顔を洗うと、台所に向かった。

からら…

少し冷えた台所にヒーターをつけてヒーターの前に座りこむ。

いつからだろう。

朝、目が覚めてここに母を探さなくなったのは。

いつからだろう。

あたし達を捨てた母を憎らしく思うになったのは。


ぎゅうっと手を握りしめてあたしは朝食を作り始めた。


目玉焼きとトースト、サラダを作り終えあたしは、ゆうくんを起こすことにした。

ゆうくんはあたしのおとうさん、だ。

正確にはお義父さん、って言ったほうがいいのかな。

本当のお父さんはもうずいぶんと前に母と離婚した。もう何年も会ってない、生きているのかも、また再婚しているのかも分からない。

母は何回も何回も再婚をした。

それから母はあたしが17の時、ゆうくんと再婚した。

再婚と言うよりは再再再再婚くらいだったと思う。

母はそれぐらい再婚できるほど美しく可憐だった。

その時母は31、ゆうくんは25だった。