朝八時くらい。
冬の風がびゅうびゅうと吹いては私の無駄にバサバサと長い茶髪を拐っていく。

(毎朝早起きして決めているのに。)
私は恨めしげに青々とした爽やかな空をにらみながら、校門を潜った。

『公立江田太高校』
校門に掲げられた蜘蛛の巣が張っていたプレートにはそう記入されていた。
こうりつえだだこうこう。
言いにくいため、私たちはエダ校と呼んでいる。

校門を通りすぎて、視界にはすこしくすんだようなごく普通の校舎が目についた。
エダ校。どこにでもありそうな、コメントしにくいような高校、私の通う高校。

頴川 あい子(えかわ あいこ)。

私の、母校となる高校だ。