「たくさん買っちゃったねぇ。」


両手に荷物を抱えた私たちは、オシャレなカフェで一休み。


雪乃はコーヒーを飲む。


私はココア。



…雪乃って見た目だけじゃなくて中身も大人だなぁ〜。



私なんて、コーヒーは苦すぎてなにがおいしいのかわからない。




「今日は楓さん、起こしてくれなかったの?」


「起こしてくれたよー。朝ご飯までしっかり作ってくれた!」


「優しいよねぇ!楓さん。めっちゃカッコイイし、スポーツできて背高くって…文句のつけようがないよ。モテまくってるのに、相変わらず彼女いないの?」


「いないと思うよ〜!休みの日はバスケばっかしてるから。それにお兄ちゃんは心配性だから彼女できても、うっとうしくてすぐフラれちゃいそう。」


「そんなことないよ!心配してくれるのってすごく嬉しいことだもん。愛されてるってかんじがして彼女にとっては嬉しいよ!!…少なくとも私は…。」


最後の言葉だけ急に小さくなって下をむく雪乃。

雪乃は中学の時からずっとお兄ちゃんのことが好き。


だから今までどれだけ告白されても全部断っている。

「相変わらず雪乃はお兄ちゃんラブなんだね〜!私もそんな好きになれる人が欲しいなぁ。」

頬杖をつきながらちらっと雪乃を見る。

「う〜ん…そういう人は無理に探して見つかるもんじゃないからねぇ。気づいてないだけで意外に、もう出会ってるかもしれないよ?例えばさっきのメガネくんとか!」

「さっきのメガネくん…?」

誰だっけ?メガネの人なんてこの世の中そこらじゅうにいるケド…

「望、もう忘れちゃったの?カフェに入るまであんなに怒ってたのに…。」


…怒ってた?私が?

……………。

――――もしかして?!!