「これ…ハンバーグじゃん。何で隠したの?」


「…だって焦げちゃったもん。」

私は下をむきながら小さな声で答えた。

「だからって隠して捨てようとしたのか?」


メガネくんはフタの開いたゴミ箱を見ながら聞いてきた。


「……ハンバーグ、琉也さんの好きな食べ物なんでしょ?」


「えっ?…そうだけど。」


「好きな物ならおいしく食べてほしかったのに…失敗しちゃったから。」


また笑顔で“おいしい”って言ってほしかったな。


私がしゅんっと落ち込んでいるとメガネくんがパクっとハンバーグを食べた。


「あっ!」


もぐもぐ…


絶対苦くておいしくないよぉ…。

ゴクン


…食べちゃった。


私はア然としてメガネくんを見つめていた。

そしてメガネくんが口を開いた。

「望。このハンバーグめっちゃうまいよ♪」


とても優しい笑顔のメガネくん。

その笑顔を見たら、なぜか涙が込み上げてきた。