『だったら何だってワケ?』
幸子が重たい口調で言った。

「はぁ?」
アタシまた目を丸くする。

『あんたに迷惑かけてないじゃん!!
本妻じゃあるまいし!!』
って幸子が強い口調で続けた。

『あんたと別れてって
先生に頼んだのアタシだから!!』


アタシ言葉に出ないよ。
ってか
まさかの逆ギレっすか?


『アタシ達結婚するから
邪魔しないでね。
女狐さん。』

その言葉に流石にアタシも切れたよね。

「女狐は、テメェーだろうがっ!
今まで純粋な皮被りやがって!!
そんな男のし袋つけて
あんたにやるよ!!」
言ってやった。

すると負けじと幸子が
ボソッと笑いながら
『負け犬(笑)』と言って、電話を切った。


アタシの怒りは治まらないのに。
勝手に電話を切られた。

本当に頭にきた。

彼にも
幸子にも!!

なにが
幸せな子と書いて『幸子』だよ!!
ふざけんな。
名前負けして不幸になっちまえ!!

そんな
強気な事思いながら
アタシは、また泣いてしまった。


化粧が落ちて
さっきまで黒い涙が流れてたケド
もう黒い涙も出ないくらい
化粧は落ちて
透明な涙が溢れ出して
止まらなかった。


鏡を見て
顔を洗って
眉毛だけ書いて
トイレを後にした。


バラの花束と
携帯もぶっ壊して
そのトイレに捨ててきた。


でも
大丈夫。
大事なメモリーは
手帳に書いてあるから。


「さぁーて!!飲みに行きますかッ!!」
そう一人言を残して
電車に乗り
兄貴的存在が
経営してる居酒屋に飲みに行く。