「三咲?」



先生の優しい声も、今は聞くだけで辛くなる。



「先生…。聞いてくれて、ありがとうございました。…さようなら。」



お辞儀をして、出ていこうとした私の腕を先生が掴んで、引き止めた。



私は止められた理由がよく分からないまま、涙を溜めた目で先生を見た。



「…違うんだ。そういう意味じゃなくて…。」


先生は複雑そうな顔をしている。



「俺が言ったのは、万華鏡のことなんだ。」



万華鏡…?



まだ私は先生の言っている意味が分からずにいた。