12月。


修学旅行期間中の思い出が1ヶ月近く経った今も、毎日頭の中で巡っている。


今日は合唱コンクール。


私たちのクラスも毎日、コンクールに向けて練習をしてきた。


きっと先生も…だよね。


あれから、先生方が歌の練習をしているところは、見てないから楽しみだな。


私たちは、近くにある音楽文化会館に移動した。


生徒たちが次々にホールに集まり、席に着く中で、私はいつものように入江先生の姿を探していた。


「愛菜、誰を探してるの?」


和沙は、知ってて聞いているって感じだ。


「それはもちろん…」


そう言いかけると、


「愛菜の探している人、後ろにいるよ。」


耳元で和沙がささやいた。

席に座ったまま、後ろを振り向くと、入江先生が後ろにいる生徒と話していた。

いつの間に…!?


びっくりしている私を見て、和沙はクスッと微笑んだ。