「あーあ。俺、あっさりフラれちゃったな。」


渚は思いきり背伸びをした。


「…ごめんね。」


「謝るなよ。別に愛菜が悪いわけじゃないだろ?」


「でも…」


「愛菜に想われてる入江先生が羨ましいよ。愛菜、頑張れよ!」


渚は“じゃあな”って、手を振って先に帰って行った。


その背中は寂しげで、姿が見えなくなるまで、ずっと見続けていた。



私…先生のことばかり考えていて、気付いてなかった。


渚の気持ちに…。


ずっと好きでいてくれた、その気持ちに。



それなのに、『頑張れよ』って応援してくれた渚。



胸が、キュッと締め付けられた。



渚…



本当にごめんね…。