少し温かくなった布団の中で、まだ冷たい彼の手があたしの頬に触れる。
薄暗い部屋の片隅に置いてあるライトが、部屋を照らしていた。
何も言わず抱きしめてくれる彼。
ほんのり甘い香水の香りが漂う。
ウエーブがかかった茶髪の髪が、くちゃっと枕にもつれる。
「ねぇ、あたしのこと好き?」
切なげな表情をするあたしに、彼はぎゅうっと強く抱きしめ耳元で囁く。
「離さねぇ…」
彼の一言一言に、あたしは惹かれてゆく。
目をつむる彼に、『寝ないで』と服の裾を引っ張る。
細く開いた彼の瞳は、ライトに照らされてキラキラと輝く。
「何?」
冷たい彼の言葉に、口をとんがらせたあたしを、頭をポンポンと2回叩くと彼はまた、まぶたを閉じてしまった。
大きな彼の胸の中で、あたしもゆっくりとまぶたを閉じた。