「ん〜…もう、朝か…」



あたしは、この日、颯斗から貰った指輪を初めて手放した。


引き出しの奥にしまう。



「陽奈〜いつまで寝てるの??」



お母さんが、あたしを起こしに来る。



「起きてるってば!!」



あたしは、大きく伸びをする。



「あら、失礼。珍しいじゃない」



お母さんは、笑いながら言った。



久しぶりに座る食卓。


こんなの、すごく懐かしい。


海斗と付き合うようになってから、あたしの何かが変わり始めているのかもしれない。



「美味しい…」



食パンに、目玉焼きとソーセージにスープ…なんて、普通の朝ご飯なのに、すごく美味しく感じた。


今まで、余計な物食べてなかったからかな。



「陽奈、変わったね。何か元気になった??」



お姉ちゃんはそんなあたしを見て、笑っている。



「うん。色々あったから…」



あたしは、口を緩めて言う。


何だか学校に行くのが、楽しみに思えた。