「陽奈〜帰ろう」



海斗があたしの教室に顔を出した。


誰かと帰るなんて久しぶり。


陽奈は、バイトだしね…。



「うん!!ちょっと待ってね」



あたしは、教科書やら参考書やらを鞄の中に詰め込む。



ポン



その時、何かが床に落ちる音がした。


ふと、床に目をやると、あたしの黒い携帯だった。



「あ…忘れるとこだった」



あたしは、ホコリを手で軽く払うと、鞄の中に押しやった。



「お待たせ」



あたしは、鞄を肩に掛けると、海斗の元へと行った。



「メアド登録していい??そういえば、してなかった」


「うん。いいよ」



あたしと海斗は、メアドと番号を交換した。



「あのさ〜…あと1つお願いがあるんだけど…」


「え??何??」


「元彼のメールの履歴とか全部消してくれる??何か、元彼に嫉妬してしまう」



海斗は顔を赤らめながら言う。


その顔がすごく可愛くて、愛おしく思えた。