そんなとき、凄く久しぶりな音を聞いた。



トントン!!



ドアのノックの音だった。


あたしは、返事をしなかった。



「陽奈…」



ノックをしたのは、お姉ちゃんだった。



「こんなに、痩せて…」



あたしは、お姉ちゃんに抱き寄せられた。



「陽奈…」



あたしは、返事をする気力さえなかった。



「颯斗君の為にも、もうそろそろお墓に行ってあげようよ」


「………」


「颯斗君、きっと寂しがってるよ??陽奈が来ないからって…」


「………」


「あ…そうだ!!」



そう言うと、お姉ちゃんは、手に持っていた小さな箱を取り出した。



「これ…颯斗君の部屋にあったからって。さっき、颯斗君のお母さんが…」


「え…これ…あたしのために??」



あたしは、やっと声が出せた。



「うん。颯斗君から…」