あたしは、空を見上げてただただ祈ることしか出来なかった。



夜なんて、ちっとも寝られなかった。


牛乳とバナナを寝る前に食べると、よく寝れるって聞いたから試してみたけど、寝られることはなかった。



あたしは、その夜、颯斗に会いたくて我慢できず、家を飛び出した。


急いで、電車に乗って病院に向かった。



楓ちゃんや颯斗のお母さんに言われた言葉が、頭の中でリピートされている。


でも、その前にどうしても、颯斗に会いたかった。



「颯斗!!」



あたしは、病院中から颯斗を探した。



「陽奈ちゃん…」



後ろから、誰かの弱々しい声が聞こえた。



「あ…こんばんは。夜分遅くにすいません…」



あたしは、大きく頭を下げた。


そう、あたしに声を掛けてきたのは、颯斗のお母さんだった。



「颯斗は全然目を開けないわ。そっと見守ってやることしか出来ないの…」



颯斗のお母さんはそう言うと、その場で何かが壊れたように泣き崩れた。


あたしも、一緒に涙を流した。



「颯斗はきっと、あたしたちなんかより、陽奈ちゃんに会いたいハズよ。会いに行ってあげて…」


「あ…はい」



お母さんは、先を歩いていった。


あたしは、その後を追いかけた。