路地裏大戦争


放課後。

掃除をサボり、生物実験室に隣接されてる

器具準備室にオレはいた。

15:47。

そろそろどっちかが来るだろ。

カメラのフラッシュをオフにして、

実験室の机の裏に仕掛けた盗聴器の

音を聞くためにイヤホンを耳にかける。


ガラッと戸が開いて、

男性教師が入ってきた。

あいつは確か…

生物担当の坂井とかいったよな。

やー、まいったな。

オレ、物理選択だから接触できねぇ。


「あ、浅野くん。」

イヤホンから教師の声が聞こえた。

かすかに覗くと、浅野が立っていた。

「今回…3回目ですね。

だんだんハマってきました?」

「なかなかいいね。

愛用してしまったよ。」

…そりゃ愛用じゃなくて、

中毒とか乱用って言うんだよ。

「いつも通り、2万です。」

浅野は茶封筒を出した。

なるほど。

集金袋を使えばあっさり、ってわけか。

怪しまれずにすむしな。

坂井は黒い財布から万札を2枚抜き取り、

浅野に手渡した。

「どうも。」



現場、おさえたな。

これで仕事、1個終わった。

交換の瞬間の写真も、手元のズームも

完璧に撮った。

あとは坂井の集金袋の中身を確認するだけだ。