卒業式の朝。

私はいつもより早く家を出た。


朝早い学校は人気がなくて静かに時が流れていた。

私は中庭のベンチに腰を下ろした。


陵弥と出会ったベンチ。

誰と付き合っても長続きしなくて、「相当遊んでる誰とでも寝る女」なんて噂されてた噂の女だった私。


毎日が退屈で、つまんなくて…



そんな私がこのベンチで陵弥に出会った。



陵弥の制服のボタンに私の髪が絡まる…なんてあり得ない出会いだったけど…


偶然なんかじゃない。


必然的な出会いだったんだ。



「好き」を知らない私が陵弥に恋して、色んな感情を教わった。



好きで、好きで堪らなく好きで…


それなのに傷付いて、傷付けて。


辛かった…苦しかった。
陵弥が好きなのに苦しくて…壊れそうだった。


心が離れそうになった時。

やっぱり、この中庭で陵弥と気持ちを確かめ合ったんだ。



私にとってこの場所は……

特別な大切な場所。




目を閉じれば思い出す事がいっぱいあるよ……



………


私は目を閉じてベンチに寝転んだ。









「…先客か…」