今日……陵弥は旅立つ。

陵弥と一緒に部屋を出た。

昨日、陵弥はこの部屋の鍵をくれた。


「このままにして行くから時々来て…」



陵弥と1年過ごした思い出の詰まった部屋。


淋しくなったらここへ来るよ…陵弥の匂いのする部屋に。



空港に、沙織と卓君が姿を見せた。



「陵弥…元気で頑張れよ」

そう言った卓君が涙ぐんでいた……


「凜花の事は私に任せなさい。だから早く凜花を幸せに出来る男になって迎えに来てやって…」


そう言った沙織も…涙ぐんでた。




そして別れの時……


ずっと握りしめていた私の手を陵弥が離し…


「凜花…行って来るよ…」

「……うん…身体に気を付けてね……行ってらっしゃい…」


…泣かないで…言えた…


陵弥が私を真っ直ぐ見つめて。


「…凜花!!」



そう言うとキスして抱きしめた。


私を離した陵弥が、背を向けたまま…手を上げて歩いて行く……



その姿を見えなくなるまで見つめた。


心の中でずっと

陵弥…!!

陵弥…!!


そう叫びながら。



陵弥の姿が見えなくなると、私はその場に膝を着いて泣き崩れた。