あの日、お袋からの電話で全てが変わったんだ。
俺の親は海外赴任中。
親父の会社がアメリカにあるからだ。
『陵弥…進路はどうするの?大学に進んだとしても、その後の事考えてるの?』
……進路…
今の学校はエスカレーター式で、成績さえしっかりしてれば付属の大学に行ける。
それでいいって思ってた。
その後は……
『こっちに来て、お父さんの会社で勉強なさい。こっちで語学を学びなさい…』
アメリカに……語学留学?
親父の会社で勉強…
「直ぐに結論出さなきゃ駄目か…?」
『陵弥が渋る理由は凜花ちゃん?…本当に好きなのね…
でもね、本気で凜花ちゃんとの未来を考えてるなら、男として将来凜花ちゃんを守って行けるだけの力をつけなさい。
今のままで大切な人を幸せに出来るの?』
男として、凜花を守って行けるだけの力……
……今の俺は………
まだ親のスネかじりだ。
『今は辛くてもこれから先の未来の方が大切なんじゃないの?…凜花ちゃんなら待っててくれるはずだわ』
「いつからアメリカに…」
『そっちの学校が夏休みになったら。
近いうちに手続きに一旦帰国するから準備しておきなさい』

