相変わらずサボリ常習犯の俺。
凜花と別れ、中庭のベンチに寝転び目を閉じた。
カサッ… 人の気配に目を開けると。
「川上先輩…久しぶりですね」
身体を起こし、声の主を見て……固まった。
「…お前………陸斗?」
驚く俺に、陸斗が。
「随分、彼女の事、大事にしてるんですねぇ…」
ニヤリと笑ってそう言った。
俺は陸斗を睨む様に見て。
「お前この学校なのか…」
「伊沢 凜花って言うんですよね?…先輩の大事な女。まさかあの川上先輩が、女に本気になるとは思いませんでしたよ」
俺の背筋が凍り付く…
コイツ…凜花の事…
「お前、凜花に何する気だ。アイツに頼まれたのか」
そう言うと陸斗は。
また、ニヤリと笑い。
「別に頼まれたりしてませんよ…でも先輩の女だけあって、いい女ですよねぇ…
俺、教室からこの中庭見えるんですよ」
そう言って見上げた教室の窓際。
……凜花がいた窓際に……
風が吹いて、芽吹いたばかりの青葉を揺らす。
カサカサと青葉の擦れる音だけが、頭の中に響いた。
……凜花……

