部屋に着く頃には私の目には涙が浮かんでた。



陵弥が怒ってる……



…違う……


何か言いたいはずなのに、言ってくれないからだ。



原田君の気持ち知ってたのに、キスなんかされてる私に呆れた…?…



陵弥が玄関の鍵を開けた時……

私の目からは涙が溢れ出していて。



「凜花……何で泣いて…」


泣いてる私を見て陵弥が驚いた。



「だって…ヒック…陵弥が何も言ってくれないから…クズ…怒って…グス…呆れたのかなって…」



陵弥が私を抱きしめた。


「ばーか…そんなじゃねぇ…原田にはムカつくけどな……ごめん…凜花…」



凜花が私の頭を優しく撫でる。


私……陵弥にこうして撫でられるの大好き……


落ち着くから……


陵弥の手……大好き……
ずっとと…こうしていたい。


そう思った。







……そう思ったのに……






「凜花……俺………また…アメリカに行かないと…」


頭の上に降って来た思いがけない言葉。



……アメリカ…?…



陵弥がまた…

…アメリカに行く…

………………



言葉を理解するまで…どれだけ掛かったんだろう…



「……ぅ…そ……」